Hatena Blog版・筑西歳時記~ここは茨城、筑西(旧下館)市

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DOUBLE FANTASY -John & Yoko/5 The Lost Weekend

こんにちは、みなさんお元気ですか?

さて、ここ茨城県筑西市とは関係ありませんが・・・
「DOUBLE FANTASY -John & Yoko/4 New York City」からの続きです。

ソニーミュージック六本木ミュージアムで開催中の「DOUBLE FANTASY – John & Yoko」は、元ビートルズジョン・レノン生誕80周年にあわせて、ジョンとオノ・ヨーコ夫妻の軌跡を、彼ら自身の言葉や作品でたどる展覧会。ジョンの故郷であるイギリス・リバプール博物館で行われたものを、東京に場所を移して開催しています。


1973年、ジョンとヨーコの存在が大統領再選への脅威になると考えたニクソン政権は、2人の行動を尾行・監視し、盗聴まで行います。やがて、追い詰められたジョンはナーバスになり、ヨーコとの関係も悪化。9月には、ヨーコの意志によりジョンが家を出ます。「失われた週末(Lost weekend)」と呼ばれる、16月間の別居生活の始まりです。

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【ヨーコ】「彼が少し落ち着かなくなっているのに気づいたの。彼にも私にも休息が必要だと思った。メイ・パンはとても知的で魅力的な女性だし、非常に有能よ。あの二人なら大丈夫なんじゃないかと思って」

ジョンを支える人間が必要だと思ったヨーコは、アシスタントのメイ・パン(May Pang、中国系アメリカ人)に、ジョンとともにロサンゼルスに行くよう指示。メイ・パンによれば、当初は拒否したものの結局断りきれず、ジョンと行動をともにすることになったそうです。

写真:1974年6月のジョンとメイ・パン、そして前妻シンシア(Cynthia)との息子ジュリアン・レノン(Julian Lennon)↓

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失われた週末の期間中、ジョンはハリー・ニルソン(Harry Nilsson)やザ・フー(The Who)のキース・ムーン(Keith Moon)たちと、酒とドラッグ漬けの毎日を送りました。

【ジョン】「一番辛かったのはヨーコと別居してみて、自分は文字通り彼女なしでは生きていけないとわかったことだ」

写真:74年、ロサンゼルスのライブハウス・トルバドール(Troubadour)で泥酔
し、店を追い出されるジョンとニルソン↓

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しかしこの「失われた週末」にジョンは、自身のアルバム「ロックンロール(Rock 'n' Roll)」「心の壁、愛の橋(Walls and Bridges)」を制作し、ニルソンのアルバム「プシー・キャッツ(Pussy Cats)」をプロデュースするなど、活発な音楽活動も行っています。また、訪ねてきたポール・マッカートニーと和解し、ジャム・セッションを行ったのもこの時期です。


「ロックンロール」(米英ともに6位)は、1975年2月リリース。自らのルーツとも言える50年代60年代のロックンロールをカバーしたアルバムです。
発表順は「心の壁、愛の橋」の後になりましたが、レコーディング開始はこちらが先。ビートルズ「カム・トゥゲザー(Come Together)」の歌詞の一部がチャック・ベリー(Chuck Berry)「ユー・キャン・キャッチ・ミー(You Can't Catch Me)」と酷似していたことから著作権侵害で訴えられそうになり、解決策として、同曲の版権所有者が版権を持つ曲をレコーディングすることにしたのが、アルバム作りの発端でした。

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しかし、ドラッグ中毒だったプロデューサーのフィル・スペクターが、スタジオで拳銃を発砲した挙げ句にマスターテープを持って失踪。そこでジョンは、書き留めていた新曲のアイディアを元に「心の壁愛の橋」を制作し、その後、戻ってきたマスターテープに新たに録音した曲を加えて「ロックンロール」

を完成させました。「ロックンロール」からシングルカットされた「スタンド・バイ・ミー」は、米30位、英20位となっています。

《追記》スペクターは2003年に殺人事件を起こし、奇しくもこの記事をアップした翌日1月17日、服役中に死亡しました(81歳)。


1974年10月にリリースされたのがアルバム「心の壁、愛の橋」(米1位、英6位)。ヨーコから離れて政治運動とも決別し、音楽的にはホーンやパーカッション、ストリングスを用いた完成度の高いアルバムで、ソロとしては「イマジン」以来の全米チャート1位を獲得しました。
ただし、「落ちぶれた時には、誰も君を愛してくれない」と歌う「愛の不毛(Nobody Loves you (When You're Down And Out))」など、歌詞にはヨーコの不在による孤独が色濃く反映されています。

写真:「心の壁、愛の橋」発売時の関連グッズと「真夜中を突っ走れ」ジョン自筆歌詞↓

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「心の壁、愛の橋」からはファーストシングルとして、エルトン・ジョンがボーカルとピアノで参加した「真夜中を突っ走れ(Whatever Gets You Thru The Night)がリリースされました↓

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「もしこの曲がチャートで1位になったら、自分のコンサートに出演して一緒に歌って欲しい」というエルトンの依頼に対し、冗談のつもりで承諾したジョンですが、リリースしてみるとソロになって初の1位を獲得。約束通り、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたエルトンのコンサートに出演します↓

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この日のコンサートにはヨーコが現れ、2人はステージ裏で対面。関係を修復し、1975年2月には再びダコタで同居を始めました。長かった「週末」の終了です↓

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【ジョン】「彼女がエルトンと僕に一輪ずつ花を贈ってくれたのは知っていた。それをつけてステージに上がったんだけど、まさかその場に彼女がいるとは思わなかったよ。気付いたら皆に囲まれてフラッシュの嵐だった」

 

というわけで、次回「DOUBLE FANTASY -John & Yoko/6House Husband」に続きます。


■DOUBLE FANTASY – John & Yoko(ダブル・ファンタジー ジョン・アンド・ヨーコ)
会期 令和2年10月9日(金) ~ 令和3年2月18日(木)
※1月11日終了予定だった会期を延長
場所 東京都港区六本木5-6-20 ソニーミュージック六本木ミュージアム
通常チケット料金(税込)
前売券 一般2,500円、大学専門学校生2,000円、中高校生1,000円 
当日券 一般2,600円、大学専門学校生2,100円、中高校生1,100円
※小学生以下は無料、障がい者は半額
※そのほか各種特典付チケットあり
主催 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
メディアパートナー 朝日新聞社

DOUBLE FANTASY – John & Yoko(ダブル・ファンタジー ジョン・アンド・ヨーコ)

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

ソニーミュージック六本木ミュージアム

ザ・ビートルズ THE BEATLES - UNIVERSAL MUSIC JAPAN