Hatena Blog版・筑西歳時記~ここは茨城、筑西(旧下館)市

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DOUBLE FANTASY -John & Yoko/4 Sometime in New York City

こんにちは、みなさんお元気ですか?

さて、ここ茨城県筑西市とは関係ありませんが・・・
「DOUBLE FANTASY -John & Yoko/3Imagine~Happy Xmas」からの続きです。

ソニーミュージック六本木ミュージアムで開催中の「DOUBLE FANTASY – John & Yoko」は、元ビートルズジョン・レノン生誕80周年にあわせて、ジョンとオノ・ヨーコ夫妻の軌跡を、彼ら自身の言葉や作品でたどる展覧会。ジョンの故郷であるイギリス・リバプール博物館で行われたものを、東京に場所を移して開催しています。


1971年9月、ジョンとヨーコは、活動の拠点をロンドンからニューヨークに移しました↓

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【ジョン】「ここに住もうと思ったわけじゃない。たまたまそうなったんだ。荷物をまとめることもなかった。所持品は全てイギリスの家に置いてきた。短期滞在のつもりで来たんだ・・・けど、戻ることはなかった。」

2人はニューヨークで多くの反体制活動家と知り合い、積極的に政治活動に参加。再選のための大統領選挙を控えていたニクソン政権は、ジョンとヨーコを影響力の大きい危険人物とみて、FBIなどを使い、盗聴、盗撮、尾行などを行います。これがやがて2人の関係、ジョンの音楽活動に大きな影を落とすことになります。

1972年3月、移民局は、過去の大麻不法所持による有罪判決を理由として、2人に国外退去を命令。1976年まで続く永住許可証(グリーンカード)取得のための法廷闘争の始まりです。


1972年6月、2人は、ニューヨークのローカルバンドであるエレファンツ・メモリー(Elephant's Memory)をバックに録音したアルバム「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ(Sometime in New York City)」をリリース。

同アルバムは、リチャード・ニクソン大統領と毛沢東首席が裸で踊る合成写真をジャケットに使用し、当時起こっていた様々な事件などをテーマにした政治色の濃い作品。「シスターズ・オー・シスターズ(Sisters, O Sisters)」などヨーコの曲も収録された、ジョン&ヨーコ名義による共作アルバムでした↓

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しかし、同アルバムは前作「イマジン(Imagine)」ほどの指示は得られず、特にアメリカのチャートでは48位と大きく後退(イギリスは11位)。女性の権利について歌ったシングル「女は世界の奴隷か(Woman Is the Nigger of the World)」も、差別語「Nigger」を使用したことから放送局が放送を自粛したため、米57位に終わります。

写真:71年のエレファンツ・メモリーとジョン&ヨーコ。72年2月、アメリカのテレビ番組「マイク・ダグラス・ショー(THE MIKE DOUGLAS SHOW )」で、チャック・ベリーと共演するジョン&ヨーコ↓

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8月30日、2人はエレファンツ・メモリーを従え、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、児童福祉のためのチャリティコンサート「ワン・トゥ・ワン(One to One)」に出演↓

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結果的にこの「ワン・トゥ・ワン」が、ジョンが自ら中心に行った最後の大規模コンサートとなりました。

11月、ニクソンが大統領に再選。ジョンとヨーコな立場は、ますます危ういものになります。

1973年1月、国外退去をめぐる政府・FBIとの闘いにより精神的に疲弊していたジョンを尻目に、創作意欲溢れるヨーコは、2枚組アルバム「無限の大宇宙(APPROXIMATELY INFINITE UNIVERSE、アプロクシメタリー・インフィニット・ユニバース)」を発表。幼い頃からピアノを習うなど音楽的素養のあったヨーコは、ほとんどジョンに頼ることなく作品を完成させたようです。

写真:アイルランド駐留英国軍に対して抗議するジョンとヨーコ(1973年2月)↓

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4月1日、国外退去命令に抵抗する2人は、領土も国境もパスポートも無く、望めば誰でも国民になれる概念上の国家「ヌートピア(NUTOPIA)」の建国を宣言。これは、「サムタイム~」で見せた、現実社会で起きている問題に具体的に関わる姿勢から、「イマジン」のユートピア志向へ回帰するという意志を、アートの形を用いて示したのでしょう。

実際ジョンの次のアルバム「ヌートピア宣言(Mind Games)」

は、政治色が影を潜め、内省的なものに変化しています。

写真:ヌートピア建国宣言書↓

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5月、2人はダコタハウスに引っ越すとともに、国外退去命令の原因となった急進左翼活動家たちとの交流を断ちます。ほどなくFBIの執拗な行動も落ち着いたそうですが、アメリカ滞在のための闘いは続きました。

8月、既に次のソロアルバムの作業に入っていたヨーコに続き、ジョンもアルバムの制作を開始。10月にはジョンの「ヌートピア宣言(Mind Games)」(米9位、英13位)、11月にヨーコの「空間の感触(Feeling the Space)」がリリースされます。

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ニューヨークの一流スタジオ・ミュージシャンを使ったアルバム「ヌートピア宣言」は、シングルカットされた表題曲「マインドゲームス(Mind Games)」(米18位、英26位)こそ「make love,not war」と反戦を歌っていますが、収録曲「あいすません(Aisumasen (I'm Sorry))」では日本語を使いヨーコに謝罪するなど、内省的な作品となりました。

 

アルバム発表前の9月、夫婦関係を見直す必要を感じたヨーコの意志により、ジョンが家を出る形で2人は別居。いわゆる「失われた週末(Lost weekend)」の始まりです。

 

というわけで、次回「DOUBLE FANTASY -John & Yoko/5The Lost Weekend」に続きます。


■DOUBLE FANTASY – John & Yoko(ダブル・ファンタジー ジョン・アンド・ヨーコ)
会期 令和2年10月9日(金) ~ 令和3年2月18日(木)
※1月11日終了予定だった会期を延長
場所 東京都港区六本木5-6-20 ソニーミュージック六本木ミュージアム
通常チケット料金(税込)
前売券 一般2,500円、大学専門学校生2,000円、中高校生1,000円 
当日券 一般2,600円、大学専門学校生2,100円、中高校生1,100円
※小学生以下は無料、障がい者は半額
※そのほか各種特典付チケットあり
主催 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
メディアパートナー 朝日新聞社

DOUBLE FANTASY – John & Yoko(ダブル・ファンタジー ジョン・アンド・ヨーコ)

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

ソニーミュージック六本木ミュージアム

ザ・ビートルズ THE BEATLES - UNIVERSAL MUSIC JAPAN