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板谷波山記念館 基本計画(令和2年3月 筑西市教育委員会)

こんにちは、みなさんお元気ですか?

さて令和2年(2020)4月29日、日本工業経済新聞という専門紙の茨城版に、こんなタイトルの記事が掲載されました↓

「延べ1,200~1,300㎡を想定・板谷波山新記念館整備」

内容としては、ここ茨城県筑西市教育委員会が、陶芸家として初の文化勲章受章者である板谷波山先生の顕彰施設「板谷波山記念館」の整備方針を決定した、というものです。

それらの方針は整備検討委員会の協議による「基本構想」と「基本計画」から成り、市民の意見を広く聞くパブリックコメントの実施を経て確定、市HPで公開されています。そこでこのブログでは、前回の「基本構想」に続き、次回は「基本計画」をご紹介させていただきます↓

板谷波山記念館 基本計画

令和2年3月 筑西市教育委員会

筑西市公式HPより(現在は非公開)

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板谷波山記念館基本計画

令和2年3月 筑西市教育委員会

筑西市公式HPより(現在は非公開)

 

まえがき
基本計画は、基本構想の「新記念館の基本理念」を踏まえて、新記念館の事業計画、整備基本方針、管理運営などについて記しています。 

1新記念館の事業計画 
(1)展示事業


ア 波山の美を伝える
 板谷波山記念館で現在展示している作品に、神林コレクションを加えると、陶芸作品は50点を超え、日本でも指折りの波山コレクションになります。初期のアール・ヌーヴォースタイルの作品から、葆光白磁、葆光青磁、晩年の天目茶碗に至るまで、波山を代表する作品が一堂に会することになります。
波山の美を最大限に伝えるため、陶芸作品の展示に適した環境を整えると同時に、作品の細部に至るまで表現できる最先端の映像技術を活用した展示を行い、小説家・瀬戸内寂聴氏が語る「久遠の美」に出逢える記念館を目指します。 


イ 陶芸家・波山を伝える
 記念館には、他のどこにもない波山の窯やろくろ台などがあります。ここにしかない資料により、波山の作陶の様子、陶芸家としての歩みを伝えます。 
(ア)工房について
 往時、下館の写真家が撮影した波山と工房の子細な写真を元に、まだ展示されていない彫刻刀など道具類、材料類、その他のレプリカも利用しながら、当時に近い形で、工房の内部を再現し、波山が現存し、その息遣いが感じられるような空間の創出を目指します。また、工房で作陶する波山の映像なども上映します。
 (イ)窯場について
 三方焚口倒焔式丸窯(別名夫婦窯)は、明治39年(1906)に完成したもので、当時の最先端の窯ですが、現在では、ここでしか見ることができず、文化財的な価値が高いものの一つです。この窯の設計図や機能を、アニメーションなどを用いて分かりやすく伝えます。また資金不足のため、夫婦手作りで、築窯に1年3か月も要した苦労や貧乏、そして喜びの物語を紡ぎます。映画「HAZAN」の「初窯」のシーンなども活用します。またホログラフィーの技術でボタンを押せば、波山の姿が立体で現れるような新しい試みにも挑戦します。  
(ウ)波山の陶芸家としての歩み・独自の技法について
波山の東京美術学校彫刻科学生時代、石川県工業学校教師時代のエピソード、華麗なアール・ヌーヴォーをはじめとした素描なども紹介し、波山のデザインの原点を解き明かします。 
波山の仕事に対する厳しさは、現在でも伝説として語られています。作品は少しのキズであっても許さず、気に入らないものは全て割ってしまうという作陶に対する厳しさを窺うことができ、記念館には、波山が割った膨大な陶片が残されています。 
また波山は、「美」をやきもののなかに永遠に残そうという夢を追い続けた人物でもあります。薄肉彫りや葆光彩磁は、そうした波山が生み出した独自の技法であり、波山の夢の実現、やきものと正面から向き合った結果でもあります。 
新記念館では、陶芸家・波山の歩み、作陶に対する想いについて、最先端の映像技術や当時の資料を組み合わせながら紹介します。また薄肉彫りや葆光彩磁の技法の秘密について、薄肉彫りの未成品や陶土・釉薬の現物に加えて、コンピューターグラフィックスなども活用しながら、興味深く分かりやすく伝えます。
 (エ)生家と庭園について
 波山の生家は県指定文化財になっています。往時、生家の前方には、道路に面して醤油醸造と雑貨を商った「板善」の店蔵があり、後方には、庭園や池が広がっていました。「板善」のモノクロ写真などを使って、往時が偲ばれるよう紹介します。また、波山の茶道具を使った茶会などを催し、生家の積極的な活用を図ります。 
庭園については、現在残っている庭園の見取図を踏まえて、波山が愛した植物などを植栽し、散策、癒し、憩いの場所になるよう復元を目指します。また、庭園の復元に併せて、庭園見取図などを参考に生家の移設も検討します。 


ウ 人間・波山とその郷土愛を伝える 波山は若い時の号を、ふるさとを流れる勤行川から取り「勤川」とし、陶芸家として立つと決めてからは、ふるさとの名峰筑波山から取り「波山」と称するなど、自分がふるさとに帰属することを強く意識し、ふるさとに惜しみない愛情を注いだ人物でした。 
また、昭和8年(1933)から昭和27年(1952)まで、下館の80歳を迎えた全ての高齢者に鳩杖を贈りました。この319本の鳩杖を可能な限り集め、借り受け展示を行います。 
昭和12年(1937)から昭和31年(1956)まで、下館の戦没者の遺族281戸には香炉・観音像を贈りました。こちらも可能な限り多くの作品を借り受け展示します。観音像を制作する波山の映像も活用します。 
また、波山のふるさとでの多彩な文化活動についても紹介します。波山は、地元の文化財を大切にし、重要文化財指定へ尽力したほか、祇園祭りのお囃子の指導、演能会、妻まると開いた刺繍教室など、多彩な活動を行い、ふるさとの文化の向上に努めました。 
最新のIT技術で、戦前の街並みのモノクロ映像や写真をカラー化して、往時が偲ばれる展示を目指します。 
自分の作品については、気に入らないものは全て叩き割る、自己への厳しさを持ちながら、他人には、誰に対しても分け隔てなく、腰が低く、優しく、フェミニストで、ユーモアを好む「波山の人柄」について、様々な手紙やエピソードなどを交えて紹介します。 
また、妻まる、生涯の同志・ロクロ師の現田市松に関するエピソードや、高村光雲の子息・詩人の高村光太郎、陶芸家の浜田庄司、実業家の出光佐三との様々な交流、瀬戸内寂聴中島誠之助による波山評など、音声や映像を活かしつつ紹介します。


エ 新しい表現技術で伝える 
新記念館は、最先端の展示技術、4K・8Kの映像技術、コンピューターグラフィックスを利用したデジタルサイネージプロジェクションマッピング、ホログラムや、インタラクティブなデジタル展示を駆使し、楽しく、面白く、学ぶことができるエンターテイメント性のある参加体験型の施設を目指します。特に展示を見た後に、楽しみながら見学の振り返り学習ができるスペースを設けます。  
また、インバウンド(訪日外国人旅行者)に対応した多言語表記を行うとともに、音声ガイダンスやボランティアガイドによる展示解説を行います。 

(2)教育普及事業
新記念館は、市民と協働し、市民と共に創り育てる記念館とします。そして、波山が奨学金によりふるさとの若者を愛し育てていたように、ふるさとを愛する人を育てる記念館を目指します。 
ア 講演会やワークショップを開催し、様々な学びの機会を提供し、市民や来館者の活発な交流を創出します。 
イ 職員等の人材育成を行うとともに、市民ボランティアガイドを育成し、市民と共に記念館を創り育てます。 
ウ 学校教育と連携した各種のプログラムやワークシートなどを開発し、新記念館を学校教育のなかで活用する仕組みを整えます。 
エ 市内の小学校、中学校、高校の教員と連携を図り、学習相談などに応じる支援体制を整備します。 
オ 市内の中学校・高校などが実施する職場体験や、大学生を対象とした学芸員資格取得のための博物館実習を受け入れます。 



(3)調査研究事業
 新記念館の学芸員は、新しい企画を常に考え、波山に関する様々な情報を発信し、入館者の拡大に努めます。
ア 常設展示・企画展を行うため、調査研究を行います。 
イ 他館や個人所蔵者から借り受け展示を行うため、調査研究を行います。
ウ 波山研究を継続して行い、関連の図録・映像・研究書などを集積し、波山のことなら何でも分かる日本一の情報集積地にします。 
エ 波山作品の全品目録(レゾネ)や全作品デジタル映像化を目指します。 
オ 大学や研究機関と連携を図り、質の高い研究を継続して行います。 



(4)収集保存事業
 板谷波山の作品及び関連する資料を収集保存し、未来へ継承します。また、作品などの寄贈・寄託を積極的に受け入れます。 


ア 資料の収集
(ア) 購入、寄贈、寄託、借用、制作などの方法によって行います。 
(イ) 収集にあたっては、市民や研究者、博物館や大学などの関係機関と協力・連携して取り組みます。 
(ウ) 必要に応じて、外部有識者などによる委員会を設置し、資料を審査・評価した上で収集します。 


イ 資料の保存
 文化庁長官の承認を受けた公開承認施設を目指し、必要な設備を備えた収蔵庫や展示ケースを設置します。
(ア) 収蔵庫や展示ケース内の温度湿度を管理します。 
(イ) 虫害やカビへの対策として、IPM(IntegratedPest Management:総合的有害生物管理)の考え方に沿った管理を行います。 
(ウ) 地震への対応として、免震台の設置、収蔵庫棚における落下防止ネットの設置などを行います。 
(エ) 火災への対応として、展示室及び収蔵庫内はガス消火設備を設けます。
(オ) 防犯対策として、監視カメラなどによる監視、セキュリティシステムを導入するなどして資料を安全に保管・展示します。 
(カ) 傷みのある資料は、専門家の助言を得て計画的に修復を行います。 


ウ資料のデジタル化
 台帳や写真などのデジタル化を行います。また収蔵資料をデジタル画像で記録します。 


エ資料データベースの作成と管理 
デジタル化した情報を元にデータベースを作成し、資料を管理します。 



(5)情報発信事業
 しもだて美術館をはじめとした市内の文化観光施設や、古い街並み、また茨城県陶芸美術館、笠間市益子町などと相互に連携し、幅広い文化ゾーンを作り上げることで、まちなかの賑わいを創出します。これらの情報は、ホームページ・SNSを利用して発信していきます。また、調査研究で得られた板谷波山に関する情報を積極的に発信します。 
ア ガイダンス・インフォメーション活動 
板谷波山について、専門的な立場から、きめ細やかなレファレンスサービスを行うとともに、市内の史跡や見どころなどについての情報提供を行います。 
イ 市内の文化観光施設の情報発信 
市内の文化観光施設とクラスター(集団・群)を形成し、相互に連携し、各施設の最新の情報を来館者に提供します。 
ウ インターネットによる情報発信
 新記念館のホームページ(多言語)を作成し、インターネットを通じて情報を発信します。また、近年普及が拡大しているSNSも活用します。 
エ 年報などによる情報発信 
新記念館の事業活動について、年報やミュージアムレターを作成し、関連施設などに配布します。 
オ 市や関連団体の広報媒体による情報発信 
市広報紙や関連団体の広報媒体などを活用して情報発信を行います。 
カ 友の会・ファンクラブの組織化 波山に関心のある方々による友の会・ファンクラブを組織します。企画展やイベント等の情報をいち早く発信するとともに、会員相互の交流を促進します。 



(6)社会貢献事業
 板谷波山が実践した、鳩杖や観音像の贈呈をはじめとした様々な社会貢献を鑑み、新記念館が社会に貢献できるよう取り組みます。 
生涯学習による社会貢献 
新記念館は、例えば認知症対策として有益な回想法を用いた展示で高齢者の健康寿命に働きかけるなど、あらゆる世代に向けて生涯学習の場を提供することで、人々の生きがい作りを推進します。
イ 市民と連携した社会貢献
 新記念館は、様々な社会問題に対して、市民と連携し、柔軟な発想のもとで、その解決の一助となるよう、可能な限りの社会貢献を行います。 



2新記念館の整備方針 
(1)建物について
 「基本理念」と「事業計画」を踏まえ、新記念館の施設整備方針を以下の5つとします。 
ア 波山の陶芸作品や遺品、貴重な文化財(生家、窯)などを展示保管する施設として、防災・防犯に配慮した「安心安全」な施設にします。 
イ 波山が愛した周辺の街並みや自然と調和する、景観に配慮した施設にします。 
ウ 分け隔てない「波山の人柄」が感じられる、誰もが利用しやすい、ユニバーサルデザインに配慮した施設にします。 
エ 施設の維持管理費を節減できるよう、省エネルギーやライフサイクルコストに配慮した施設にします。 
オ 作品や遺品の収集や展示方法などの様々な変化にも対応できるよう、フレキシビリティに配慮した施設にします。



3新記念館の諸室構成 と連関
(1)諸室の構成 部門 諸室 想定面積 収集保存
収蔵庫 (作品や資料を保管する) 60㎡
前室 (収蔵庫内の環境を一定に保つための緩衝空間) 20 ㎡
荷解室 (搬入された作品や資料の梱包を解くために使用) 10 ㎡
トラックヤード (搬入搬出用トラックヤード) 40 ㎡
展示 
展示室1 (波山作品の展示、兼用で企画展実施) 170 ㎡
展示室2 (工房・窯場・陶芸家としての歩み・技法・陶片を紹介) 140㎡
展示室3 (波山の人柄と郷土愛を紹介) 140 ㎡
展示物品倉庫 (展示用物品などを保管) 50 ㎡
教育普及 
多目的室 (講演会、ワークショップなどの開催、市民やボランティアの交流) 100 ㎡
見学の振り返り学習コーナー *展示室内に設置 (電子端末を用いたクイズ形式などによる振り返り学習) 0㎡
映像コーナー *展示室内に設置 (波山や作品などの映像鑑賞) 0㎡
調査研究 ・ 管理運営 
事務室・学芸員室・展示作業室 (執務に必要な空間や設備) 60 ㎡
書庫 (調査研究に必要な文献、紀要、報告書などを保管) 10 ㎡
物品倉庫 (運営に必要な物品などを保管) 20 ㎡
会議室 (応接室を兼ねた会議室) 20㎡
機械室 (空調設備や消火ボンベなどの機械室) 80 ㎡
その他共用 (階段、廊下、エレベーターなど共用空間) 120 ㎡
来館者 サービス 
トイレ (車いすや乳幼児などにも対応した多機能トイレを設置) 50 ㎡
授乳室 (授乳スペースを設置) 10㎡
 コインロッカースペース (来館者が手荷物を預けるコインロッカー) 10㎡
エントランスホール (受付窓口、プロローグ映像) 90 ㎡
ミュージアムショップ (波山に関するグッズや、筑西の土産を販売) 20㎡
 カフェ・自由飲食スペース (誰でも利用できるカフェなど) 30 ㎡
想定面積 合計 1,250㎡



 4管理運営計画 
(1)管理運営形態の検討と組織概念 新記念館の管理運営にあたっては、経営的そして効率的な視点が求められています。管理運営の形態として、市による直営方式と、現在の記念館が採用している指定管理者方式があります。指定管理者方式は、民間事業者の経営手法を活用することにより、管理経費の削減、より多くの利用者の確保、利用者に対するきめ細かなサービスの提供、官民の協働が期待できます。このことから新記念館においては、現在と同様に指定管理者方式を導入することが望ましいと考えられます。 また、現在の記念館は「博物館類似施設」であり、学芸員がいないため、本来博物館が持つべき、資料の収集保存・調査研究・展示などの学芸機能が果たせていません。新記念館は、波山に関する情報の収集・発信基地・研究拠点となるべく、博物館法による「登録博物館」および、重要文化財を展示するための「公開承認施設」を目指し、学芸員の配置は必須です。 そこで、新記念館の管理運営にあたっては、施設管理部門を指定管理者に委託する一方、学芸部門を市による直営方式とする、業務分割方式を新たに取り入れることが望ましいと考えられます。 これにより市職員(学芸員)が継続性をもって学芸機能を果たすことができ、借り受けした資料や寄託された資料についても市が責任をもって管理することが可能となります。


 5施設計画 
(1)敷地及び施設の概要 
*計画規模などに関しては、今後の検討により変更の可能性があります。
ア 概要
住所:筑西市甲866番1ほか11筆 主要用途:博物館その他これらに類するもの 
イ 敷地状況 
敷地面積:1695.84㎡(公簿) 
用途地域:近隣商業地域・第一種住居地域 【田中用水の南側は近隣商業地域、北側は第一種住居地域に指定されています。】 
防火地域:準防火地域
建ぺい率:85.54% 【近隣商業地域80%・第一種住居地域60%を、敷地面積で按分します。加えて当該敷地は、二方向道路に接する角地であり、敷地外周の3分の1以上が道路(幅員4m以上、二つの道路の合計幅員が10m以上)に接していますので、建ぺい率が10%緩和されます。その結果、85.54%となります。】 
容積率:277.70% 【近隣商業地域300%・第一種住居地域200%を、敷地面積で按分します。その結果、277.70%となります。】 
ウ 構造 
鉄筋コンクリート(RC)造地上2階~3階を想定 
エ 建築面積 
500㎡~1,000㎡を想定 
オ 延床面積 
1,200㎡~1,300㎡を想定
日影規制
高さが10mを超える建築物の場合は規制対象  
キ 駐車場 
新記念館の建物は、建築面積500㎡以上を想定しており、このほか敷地内には生家があります。そして新たに往時の庭園の復元も目指していますので、敷地内に大型バス対応の駐車場を設けることは難しいと思われます。利便性や安全性などを考慮した駐車場用地を新たに求める必要があります。 
ク 田中用水に関する規制
用水路を跨いで建築する場合は、用水路管理者(筑西市*道路維持課)の許可を得ることが必要となります。 
ケ 概算建物工事費・外構工事費
近年建築された公立美術館・記念館の事例をもとに、建設費の1㎡当たりの単価を調査したところ、59万円/㎡となっています。(*この中には、建物工事費・外構工事費は含まれますが、既存建物除却費、生家・窯移設費、什器・展示関係備品購入費などは含まれません。) 新記念館の延床面積は約1,200㎡~1,300㎡を想定しているため、概算建物工事費・外構工事費は約7億1,000万円~約7億7,000万円と想定されます。 詳細な工事費については、今後、施設の基本的な機能や設備を具体化する基本設計、さらに詳細な仕様を決定する実施設計を経て算出します。 
コ 年間運営費 
新記念館の年間運営費については、現段階では建物の規模や設備、企画展の年間計画、職員の配置などが確定していないため、算出することは困難です。今後、建設準備委員会を設置するなどして運営費の算出を行ったうえで、基本設計・実施設計を進めていきます。 
サ 事業の財源 
ふるさと納税クラウドファンディングなど様々な手法を活用します。事業に賛同する方々の支援を得て、共に創り育てる記念館とします。 
シ 整備スケジュール
2018年度~2019年度:基本構想・基本計画、パブリックコメント 実施 2020年度~:基本構想・基本計画の広報 
2021年度~:建設準備委員会 
2022年度~2023年度:基本設計・実施設計 
2024年度~2026年度:建設工事



付属資料1展示計画 
(1)常設展示 
ア常設展示のテーマや展示の特徴
 (ア)プロローグ映像展示 
板谷波山の生い立ちやその生涯を、簡潔にまとめた映像で紹介します。 
(イ)テーマ「名品展示」(美術館機能) 
神林コレクションをはじめとする波山作品の最も美しい姿が伝わるよう展示します。 また、重要文化財の「葆光彩磁珍果文花瓶」、「彩磁禽果文花瓶」などの波山作品を、4K・8Kのスーパーハイビジョンの映像技術を活用し、大画面で紹介します。 
(ウ)テーマ「工房と窯場」(博物館機能Ⅰ) 
下館の写真家が撮影した波山や工房の写真を元に、所蔵する道具や材料類を利用して往時の工房を再現します。 また、夫婦窯として名高い三方焚口倒焔式丸窯の築窯にまつわる苦難の様子を紹介します。 また、波山の陶芸家としての歩み、波山独自の薄肉彫りや葆光彩磁の技法を、コンピューターグラフィックスなども活用して紹介します。 (エ)テーマ「人間・波山」(記念館機能Ⅱ)
波山の生い立ちや、ふるさと下館に対する深い愛情(鳩杖、観音像など)、そして波山の人柄(様々なエピソードやユーモアのセンスなど)や、妻まるや現田市松をはじめとした様々な交流関係(高村光太郎浜田庄司出光佐三など)を、当時の写真や映像資料などと共に振り返り、人間・波山を紐解いていきます。 
(オ)体験型展示 
作陶(釉薬、技法)について、来館者が理解しやすいように、デジタル機器を活用し体験を通じた展示を展開します。 
(カ)エンディング映像展示 
展示鑑賞の最後に、子ども向けの振り返り学習スペースを設置します。振り返り学習は、映像資料を用いて行い、小学校の社会科見学などにも対応できるように展開します。 


イ展示手法 
(ア)高気密型(エアタイト)ケースによる展示
波山に関わる貴重な資料や、他館から借用する重要文化財や美術品を守るために、高気密型(エアタイト)ケースを用いた展示を行います。また、高透過ガラスや低反射ガラス、低反射フィルムの導入を検討します。
 (イ)立体的な展示 
波山が使用した作業台やろくろ台を配置して工房を再現し、波山の作陶の様子を視覚的に理解できるようにします。 
(ウ)触れる展示 
視覚障がい者をはじめ、だれもが展示を楽しむことができるように、触れる展示を検討します。 
(エ)更新できる展示 
簡易に資料や解説を入れ替えることができるように、更新性に配慮した展示とします。 


ウ展示空間の考え方
 (ア)可動式パネル
絵画などの展示ができるように、壁面展示ケースの前面には、取り外しが行える可動式のパネルを用意します。 (イ)可動式什器 
可動式の覗き型ケースや行灯型ケースなどを配置し、様々な企画展示にも対応できるようにします。
 (ウ)可動間仕切り 
展示内容に合わせて空間の大きさを変えることができるよう、可動間仕切りを設けます。 


エ展示解説 
(ア)大人解説と子ども解説 
大人用の解説パネルと、子ども用の解説パネルを検討します。 
(イ)情報端末による解説 
資料の詳細な情報を見ることができる情報端末の活用を検討します。
 (ウ)外国語対応 
コーナー名称や資料名には、多言語で併記します。 


(2)企画展 ア基本的な考え方 
常設展示では伝えきれない内容や研究成果などに基づきテーマを定め、他の美術館などが所蔵する美術作品や資料を借り受けて企画展を開催します。
 イ展示手法 
常設展示に準じた展示を行います。 
ウ展示空間の考え方 
常設展示に準じた展示を行います。 
エ展示解説 
常設展示に準じた展示を行います。


(3)屋外展示 
県指定文化財である板谷波山生家を適切に保護するとともに公開します。屋外の資料を観覧することで、館内も観覧したくなるよう、屋外と屋内の連携を図ります。 また、板谷波山生家と併せて往時の庭園を復元し、文化財の保護に配慮した屋外展示を行います。


(4)展示設計指針
 ア動線幅 
展示の配置との関係を考慮した動線幅の設定を行います。また、最も幅員を必要とする車いす利用者に配慮した動線幅とします。 
イ資料展示の高さ 
来館者の目線の高さは性別や年齢、また車いす利用者によって大きく異なることから、その目線平均値を基準とし、さらに視野角を考慮して展示する高さを決定します。 
ウ展示ケース 
展示ケースは、重要文化財を展示できる仕様とします。また、各部位の寸法は、資料を展示した際に来館者にとって見やすく、資料を安全に列品できる寸法を確保します。 さらに様々な種類の資料の列品に対応するため、汎用性の高いものとします。 
エ映像・情報コンテンツ 
上映時間やテロップなどに配慮して、だれもが楽しめ、分かりやすい映像で紹介します。 
オ有害物質への対応
来館者及び職員の人体への影響と、文化財への影響を抑制するため、展示室内(ケース内含む)における有害物質の濃度は、厚生労働省が定める基準値以下とします。 
カ展示室の安全について
障がい者のみならず、子どもや高齢者が安全に観覧できるように配慮した設計とします。 キグラフィック(案内板・解説など)について 色弱者や高齢者でも見やすいグラフィックの設計を行います。 



付属資料2
公開承認施設について 
文化庁長官による公開承認施設の承認については、「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規定」により定められています。 公開承認施設では、次の収蔵機能が求められます。 
(1)収蔵庫に求められる保管機能
収蔵資料にとって最適な保存状態である、温湿度の変化が少ない保存環境を実現するために、温湿度管理が可能な収蔵庫に資料を収蔵します。 収蔵庫は、外気の入らない密閉度の高い建築物の中で、空気層を設けた二重壁・二重床・二重天井の中に設置します。 また、温湿度管理が異なる資料を収蔵できるよう、資料特性にあわせた収蔵室を複数設置します。 
(2)文化庁指針に適合した保存環境
新築の建物については、重要文化財の展示・保存にあたり、打設コンクリートのアルカリガスを抜くため、打設後3年「2夏を越える」ことが、文化庁から指導されています。 また、実施設計図書の骨格ができた段階で、文化庁への事前相談が必要となります。 



付属資料3
その他関連する法律・条例 
建築基準法都市計画法 ・消防法 ・駐車場法 ・博物館法 ・文化財保護法茨城県建築基準条例 ・茨城県景観形成条例 ・茨城県文化財保護条例 ・筑西市における建築物に附置する駐車施設に関する条例 ・重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規定 


付属資料4「板谷波山・神林コレクション初公開ふるさとへの贈り物」展のアンケート結果 
■実施期間 平成30年10月6日(土)~11月4日(日)開館日数26日間 
■実施方法 展覧会来場者に管理棟(受付)で記入依頼 
■回収数 538枚(入館者数4,607名回収率11.7%) 
■アンケート内容 
質問1.ここ1年間で、美術館・博物館を利用しましたか? ①利用した(回程度)②ない 
質問2.今日はどちらから来館されましたか? ①市内②市外(都道府県)(市町村) 
質問3.今日はどのように来られましたか?複数回答547 ①車・バイク②徒歩③電車 ④バス⑤自転車⑥その他() 質問4.この企画展についてどのように知りましたか? ①インターネット、SNS②市広報紙③情報誌(名前:) ④ポスター(場所:)⑤その他() 
質問5.今回の企画展の内容について、ご意見をお聞かせください。 
質問6.展示室の広さについて、ご意見をお聞かせください。 
質問7.印象に残った作品・好きな作品がありましたらご記入ください。 
●そのほかにご感想やお気づきの点などがございましたらご記入ください。


■考察 「板谷波山・神林コレクション初公開ふるさとへの贈り物」展の入館者は、市内からは3割弱(29.2%)でしたが、県内及び県外からは7割(70.6%)を超え、市外の方々の関心がかなり高かった状況です。今後は、市内在住者にも興味を持って来館していただけるような企画の検討が課題となります。 
来館者の交通手段は、車・バイクが8割(80.3%)と圧倒的に多数です。企画展会期中においても、既存の駐車場だけでは足りない日もあり、新たな駐車場の設定や近隣の公共施設との連携による駐車場の確保についても、課題が浮き彫りになりました。 
企画展をどのように知ったかについては、市広報紙(22.8%)、インターネット・SNS(12.1%)、情報誌(11.6%)、その他(42.2%)となっています。その他の内訳は、クチコミが48.6%、NHK(TV・ラジオ)が15.1%となっており、NHK(TV・ラジオ)での企画展の紹介以降は、来館者が右肩上がりに増加したことから、効果が高かったと推察されます。また、クチコミについては、来館者の満足度の高さがクチコミに繋がったものと推察されます。反面、市内全戸配布に加え、裏表紙に招待券付きで掲載した広報紙については、期待する効果は得ることができなかったため、今後の大きな課題となりました。 
企画展の内容については、すばらしい・よかった・満足・見ごたえがあった等の感想が8割(79.7%)を占めており、「神林コレクションの全体像が展示され大変素晴らしかった」「生家、工房、作品をすべて見ることができた。素晴らしい作品の数々を見ることができて本当によかった」など、十分満足していただけました。 
しかし、展示室の広さについては、やや狭い・狭いという意見が32.3%、一方、ちょうどよいという意見が40.6%、無回答が25.2%ありました。今回の企画展においては、神林コレクションのみを展示しており、他の所蔵作品は全く展示していないため、これらを考慮すると、現在の記念館での展示室は決して広さが適切であるとは言えないことが窺えます。 
印象に残った作品・好きな作品としては、人気が高かった順に、天目茶盌(紅)、天目茶盌(黄金)、天目茶盌(紫)、天目茶盌(黒)となっており、波山先生の茶陶器にも関心が高いことが表れており、今後の展示の目玉となる可能性を示唆する結果となりました。 また、その他の自由意見として、「もっと波山のPRをしてほしい」、「セキュリティが心配」、「外部への発信力が弱い」、「案内ガイド放送がない」、「他館の作品展示をしてもらいたい」、「お茶を飲める場所や休憩のベンチがほしい」、「作品を見るのに距離がない」、「もっと広いところで展示をしてもらいたい」などのご意見・ご指摘がありました。 なお、お茶を飲める場所(喫茶スペース)の設置については、近年、博物館施設のスタンダードとなっており、文部科学省の調査によれば、全国の美術館の約半数は、喫茶スペースを設置している現状があります。しかし記念館では、そのスペースの確保や運営管理について環境が整っていないため、困難であると考えています。また、展示スペースについても、不足していることが指摘されています。 


板谷波山記念館基本計画 
令和2年3月 
発行:筑西市教育委員会 
編集:文化課
〒308-8616茨城県筑西市丙360番地 TEL:0296-24-2111 (代表)


ちなみに、市の様々な計画について行なわれるパブリックコメントでは、その多くが市民からのコメント(意見)は数件ですが、この「板谷波山記念館 基本計画」については、実に176件ものコメントが寄せられ、その9割型が賛成だったそうです。

 


というわけで、みなさんは同計画を読み、どのような感想をお待ちになったでしょうか。


筑西市公式HP 

板谷波山記念館 

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