Hatena Blog版・筑西歳時記~ここは茨城、筑西(旧下館)市

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勤行川か、それとも五行川か

こんにちは、みなさんお元気ですか?

さて、栃木県さくら市の旧氏家町に源を発し、茨城県筑西市で小貝川へと合流する利根川水系小貝川の支流に勤行川があります。
春には桜堤の桜が咲き誇り、夏は下館祇園まつりの川渡御が、そして秋にはサケの遡上を見ることができる一級河川です。

ところが、実際に川辺を歩くと、この川の表記がバラバラなのに気がつきます。

下館市が建てたと思われる仙在橋の表示↓

茨城県が設置したと思われる標識↓

茨城県知事橋本昌の名がある河川改修事業完成記念碑↓

はたして、表記は「勤行川」か「五行川」なのか、読み方は「ごきょうがわ」か「ごんきょうがわ」なのか。

ちなみに、この川を「勤行川」と表記するのは茨城県筑西市)側だけで、栃木県では「五行川」としています。

「勤行」の由来には諸説あるようですが、そのひとつとして、その昔、中舘の観音寺で法華三昧を行う際に、水垢離(みずごり)の勤行を行ったことに由来するというものがあるそうです。

また、ここ筑西市仙台藩伊達家ゆかりの地(伊達家の祖である伊佐氏の本拠地)なのですが、伊達家が祖先の遺跡を調査した「延宝5年処々見回覚書」は、この川の事を「勤行川」と記しています。

河川の名称は、現代では「河川法」という法律によって定められています。そして、源流から河口または合流点まで同じ名称を使用するのが原則です。

しかし、河川法改定以前は県や市町村などの地域によって異なる河川の名称を使用する例が多く見られました。

そして現在でも、河川法では「阿賀野川阿賀川を含む)」とされる河川が、上流の福島県内では「阿賀川」、下流新潟県に入ると「阿賀野川」と呼び分けられたり、新潟県では「信濃川」と呼ばれる河川が長野県内では「千曲川」とされるなど、地元で広く認知されている名称が、その地域における河川名として使われている例が数多く見られます。

先述の伊達家「延宝5年処々見回覚書」にあるように、河川法という近代的な法制度の元で河川の名称を定める遥か以前から、筑西地域でこの川を「勤行川」と綴り、下館町、下館市時代も一貫して町報、市報などで「勤行川」と表記してきました。
あの板谷波山先生も「波山」を号する前に、一時、ふるさとの「勤行川」からとって「勤川(きんせん)」と名乗っていたのです。

河川名を河川法に定める名称以外で表記しても、何の罰則もありません。ましてや、地元で認知されている名前で呼ぶのであれば、むしろその方が自然であると言えるでしょう。

これは、地域のアイデンティティーに関わる問題でもあります。筑西市民であれば、この川を「勤行川」と呼ぶことを、何らためらう必要はないでしょう。

なお、わたくし臣(しん)は、「勤行川」だけだとネットで「五行川」と検索した際に引っかからないので、ブログ上は「勤行川(五行川)」と表記し、子どもの頃からそう読んでいるように「ごきょうがわ」と読ませていただきます。


というわけで、みなさんのお近くには別名を持つ川はありますか?


五行川Wikipedia
河川法(河川名の別称例)Wikipedia
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