こんにちは、みなさんお元気ですか?
令和6年4月20日(土)から、ここ茨城県筑西市にある板谷波山記念館で、特別展「昭和モダーン、モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」が開催されます↓
板谷梅樹(うめき明治40(1907)年〜昭和38(1963)年)さんは、昭和モダンのアートシーンを飾ったモザイク作家。梅樹さんについては、第8回波山の夕べ「小川三知と板谷波山 ステインドグラスと陶芸・二人の作品と交流」(主催:下館・時の会)でも取り上げられていました。
さて、陶聖・板谷波山先生の五男であった梅樹さんは、父が砕いた陶片の美しさに魅了され、20代半ばの頃から陶片を活用したモザイク画の制作を志します。
田端波山邸から出土した陶片(第8回波山の夕べ「小川三知と板谷波山」展示より)↓
日劇のモザイク壁画(後述)、 瀟洒(しょうしゃ)な飾箱や飾皿、帯留やペンダントヘッドなど、絵画や模様を表出した独特のエキゾチックなモザイク作品は、どれも清新な色彩と可憐な意匠にあふれています。
「飾筥(かざりばこ)」昭和10年代 個人蔵↓
「ランプシェード」(台座:板谷山) 昭和10年代 個人蔵↓
「飾皿」昭和20年代(個人蔵)↓
「きりん」昭和30年代(個人蔵)↓
「鳥」昭和34(1959)年(個人蔵)↓
その代表作は昭和8(1833)年、有楽町に開館した旧日本劇場(日劇)1階玄関ホールの巨大なモザイク壁画(原画:洋画家•川島理一郎)。高さ3mにもなる大作だったそうです。
日劇玄関ホールモザイク壁画(板谷波山記念館X(旧Twitter)より)↓
同壁画。小田原市民会館閉館記念事業 壁画ガイド資料「市民会館大ホール壁画に込められた想い」より↓
その後、帝国美術院展覧会(帝展)を中心にモザイク作品を発表し、作家としての活動を本格的にスタートさせますが、徐々に戦争の時代に翻弄されていきます。
梅樹作品は緻密な手作業と時間を要する仕事ゆえ、残された作品は 決して多くなく、やがてモザイク作家・板谷梅樹の名は忘れられてしまいました。
しかし近年、昭和モダンの アーティストとして、その再評価の機運が高まっています。 本展は、梅樹作品の逸品を一堂に集めた本格的な回顧展。昭和20年代に横浜市からの注文で制作された、現存する最大の壁画「三井用水取入所風景(みいようすいとりいれじょふうけい)」は見どころのひとつといえるでしょ う。
「三井用水取入所風景」 1954(昭和2)年
板谷波山記念館↓
ノスタルジックな香り漂う昭和のモザイク世界を是非ご堪能ください。
というわけで、板谷波山記念館 特別展「昭和モダーン、モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」のご紹介でした。みなさん、ぜひご来場ください。
■板谷波山記念館 特別展「昭和モダーン、モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」
会期 令和6(2024)年 4月20日(土)~ 6月23日(日)
時間 午前10時から午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館 月曜日、4月30日(火)、5月7日(火)
入館料 一般800円、高校生以下無料、障がい者手帳等所持者と付き添い1名は入館無料
場所 板谷波山記念館(茨城県筑西市甲866-1)
監修 荒川正明(学習院大学教授)
主催 板谷波山記念館、公益財団法人泉屋博古館
企画協力 公益財団法人波山先生記念会
問い合わせ 板谷波山記念館TEL0296-25-3830
・関連イベント(1)
特別講演「昭和モダーン!モザイク作家・板谷梅樹を語る」(事前申込み制)展覧会監修の荒川正明氏より本展の見どころなどをご紹介します。
日時 4月20日(土)午後2時~3時30分
講師 荒川正明氏(学習院大学教授、
展覧会監修)、他ゲスト予定
会場 アルテリオ1階 集会室
参加費 500円
申込方法 予約システムまたは往復ハガキで 4月10日(水)消印有効
・関連イベント(2)
講演会「カラフル・オブ・ライフ 板谷梅樹を想う」(事前申込み制)
5月5日は梅樹が惜しまれつつこの世を去った日。展覧会監修・荒川正明氏と展覧会担当学芸員が梅樹作品の魅力を語ります。
日時 5月5日(日・祝)午後2時~3時
講師 荒川正明氏(学習院大学教授
展覧会監修)、他ゲスト予定
会場 アルテリオ2階 会議室
参加費500円
申込方法 予約システムまたは往復ハガキで 4月22日(月)消印有効
・関連イベント(3)
講演会「板谷波山・梅樹作品の修復を手掛けて」(事前申込み制)
世界から注目されている美術古陶磁復元師・繭山浩司氏をお迎えし、板谷波山・梅樹作品の修復についてお話いただきます。
日程 5月26日(日)午後2時~3時 講師 繭山浩司氏(美術古陶磁復元師)
会場 アルテリオ2階 会議室
参加費 500円 申込方法 予約システムまたは往復ハガキで 5月17日(金)消印有効
・学芸員によるギャラリートーク
会場 板谷波山記念館展示室
日程 4月29日(月・祝)、5月3日(金・祝)、6月8日(土)、6月14日(金)
時間 午後2時~(所要時間40分)
【巡回情報】
泉屋博古館東京
令和6(2024)年 8月31(土)~9月29日(日)
東京都港区六本木一丁目5番1号 TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
■板谷 梅樹(プレス・リリースより)
明治40(1907) 年 - 昭和38(1963) 年
梅樹さん(板谷波山記念館Xより)↓
京田端に陶芸家・板谷波山の五男として誕生。18歳で明治大学を中退し、単身ブラジルへ渡航。ドイツ人経営の農場で働くものの、一年後に帰国する。その後、国内のステンドグラスの先駆者・小川三知の工房に入りステンドグラスを学んだ。昭和8(1933)年、日本劇場一階玄関ホールに洋画家・川島理一郎創案とした高さ3mの巨大モザイク壁画を制作(現存せず)。父・波山などの陶磁片を使って構成され、第14回帝展に同作を元にした壁画を出品し初入選する。以降、公募展へ出品し、審査員・評議員を任されるなどモザイク作家として積極的な活動をした。また、昭和20年代には銀座・和光に帯留やペンダント、カフスボタンなどアクセサリーの販売をし、「モザイク」という分野での草分け的な存在として活躍した。昭和38(1963)年 5月5日、逝去。
板谷波山記念館
板谷波山記念館基本構想
板谷波山記念館基本計画
泉屋博古館東京
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