こんにちは、みなさんお元気ですか？
はやいもので、５月も中旬になりました。
毎年ここ茨城県筑西市に咲く桜を紹介して来たこのブログ「筑西歳時記」。桜の時期はとっくに過ぎてしまい恐縮ですが、前回記事にした大田郷駅前の桜に続き、もうひとつ桜を紹介したいと思います。
実は以前記事にした事がある場所で、特に桜の名所というわけではありませんが・・・
市内大町の羽黒神社南にある児童遊園に咲く桜です(遠くに筑波山が見えます)↓
ここには江戸時代、天台宗羽黒山清瀧寺という寺がありましたが、明治の神仏分離によって廃寺に。建物の一部は小学校や下館裁縫所などに使われたといい(参照「下館商工会議所 創立５０周年記念誌」)、またその後は下館町役場(下館市制施行後は市役所庁舎)の所在地でもありました。
様々な文書や絵図に登場するので、清瀧寺がここに潜在していたのは確かですが、建物の正確な位置などはよくわかっていません。
また児童遊園内には、戦時中に下館に疎開していた詩人・西條八十が作詞した下館音頭の歌碑と、市内川島に一時住んだことがある洋画家・青木繁の碑が建てられています。
こちらは以前にも紹介した事がある、下館音頭の歌碑↓
そしてこちらが、青木繁の碑です↓
この碑は青木没後６０年の昭和４６年に、青木繁建碑協賛会が建立したもの。碑の完成時には青木の子・福田蘭堂もここを訪れ、除幕式に参加したそうです。
横書きで蘭堂筆「青木繁の碑」の文字が大きく刻まれ↓
画像では見づらいですが、その下に縦書きで
こほろぎに
更くる夜ごとを
つゞれさす
旅に五とせの
今二十一
と、青木の短歌が彫られています↓
短歌に季語は必要ありませんが、冒頭の「こほろぎ(蟋蟀)」は、俳句では秋の季語。つまりこれは、青木が２１歳秋に詠んだ短歌という事でしょうか。
明治１５年(１８８２)生まれの青木は、明治３２年(１９００)１８歳で東京美術学校(現・東京芸術大学)に入学し、この歌を詠んだ頃は同校に在学中。明治３６年(１９０３)には「神話画稿」が白馬会第８回展で白馬賞を受賞し画壇の注目を集め、翌明治３７年(１９０４)には、２２歳であの「海の幸」(国指定重要文化財)を制作しています。
ちなみに東京美術学校には、明治２２年(１８８９)から２７年(１８９４)まで、下館(現・筑西市)出身の陶芸家・板谷波山先生も在籍し、岡倉天心や高村光雲などから指導を受けています。
碑の裏面には、青木が市内川島に滞在した事などが書かれています↓
明治三十七年夏、繁は房州布良にて
「海の幸」を同三十八年夏 下館市
川島で「日子大穴牟知命」を、四十年
正月、加波山頂にて画構をまとめ、栃
栃県水橋で「わだつみのいろこの宮」
を制作した。
天才画家・青木繁の二十九年の生涯
の中で千葉、茨城、栃木時代は、水
橋出身の画家・福田たねとの恋愛の時
代でもあった。
明治三十八年八月二十九日、川島の
旅館「玉之井」にて 一子幸彦(福田
蘭堂)を生む。
昭和四十六年十一月
没後六十年記念建立
青木繁建碑協賛會
蘭堂書
というわけで、下館駅町役場跡(羽黒山清瀧寺跡)の桜と青木繁の碑のご紹介でした。
■筑西市観光協会
ＴＥＬ０２９６－２０－１１６０(筑西市役所観光振興課内)
■青木繁の碑についての問い合せ先(筑西市観光協会ＨＰより)
青木繁の碑こほろぎ会 代表 原蒼愁
ＴＥＬ０２９６－２４－３０５０
■このブログで紹介したことのある筑西市内の桜
下館町役場跡（羽黒山清瀧寺跡）の桜
筑西市合併１周年記念の桜
積善院の枝垂桜
さわやかロードのしだれ桜
船玉の桜
勤行川桜づつみ
観音院のしだれ桜
延命寺のしだれ桜
延命寺のしだれ桜（ライトアップ）
母子島遊水地の桜
明野公民館の桜、明野薪能開催記念の桜
大谷川の桜と菜の花
県西総合公園の桜
二所神社の桜
下館駅南の桜並木ライトアップ
黒子駅の桜
布川神社の桜
筑西市役所下館庁舎(旧下館市役所本庁舎)の桜
うわばみ池の桜
中舘観音寺の桜
下館綜合卸センターの桜
大田郷駅前の桜
