板谷波山記念館の波山先生像「先生の偉大を顕彰するに尚ほ足らざるを恐る」

こんにちは、みなさんお元気ですか?

さて、度々このブログに登場している板谷波山記念館。
記念館には、茨城県筑西市出身の陶聖・板谷波山先生(陶芸家・工芸界初の文化勲章受章者)の顕彰を目的に、県指定文化財の生家や作品などの展示棟、東京都北区田端の波山宅から移築された窯など展示して作業場を再現した作業棟などが整備されています。

敷地面積的には小さな施設ですが、一回で全ては書ききれませんので、引き続きご紹介させていただきます。


記念館前を訪れる来館者をまず出迎えるのが、彫刻家・吉田三郎氏による波山先生の胸像です↓

f:id:UncleAlbert:20200401083317j:plain

 

f:id:UncleAlbert:20200401083649j:plain

吉田三郎氏は、金沢生まれ。明治36年に、石川県立工業学校(現在の石川県立工業高等学校)窯業科に入学し、当時の窯業科の担当が波山先生でした。吉田氏は波山先生との出会いにより、彫刻家を志すことになったようです。
石川県立工業学校を卒業した吉田氏は、東京田端の波山先生宅近くに居をかまえ、東京美術学校(現在の東京芸術大学)へと入学しています。

恩師であり、工芸界初の文化勲章受章者でもある波山先生の像ですから、吉田氏もその製作には力が入ったことでしょう。品格ある波山先生の姿が、見事に表現されているように思います。
ちなみに、吉田氏自身も彫刻家として高く評価され、昭和30年、日本芸術院会員となっています。

なお像の後ろには、当時の下館町の住民を含む、像の建立に携わった人々の波山先生に対する思いが記されています↓

f:id:UncleAlbert:20200401084003j:plain

波山板谷先生 壽像記
陶藝界の巨匠 板谷波山先生は下館乃人 明治五年生 本年正に八十二の年 光を重ねらる 東京美術學校に学び夙に一家を成し その作品の在る處神韻漲り 清香漂ひ 玲瓏秀美 當代に比すべきものなし 選ばれて帝室技藝員となり推されて日本藝術員会員となり 老齢猶ほ製作を棄てず 至技愈輝く 先生深く故山の風物人情を愛し 長壽者には必ず鳩杖を贈りて祝ひ 今次戦歿者の遺家族には一々自作の観音像及香爐を贈りて弔慰せられ 全町皆其の徳に感ず 下館町は嚮に先生を郷土の誇として 下館名誉市民に仰ぎ 今茲に東陶会 茨城工藝会 壽峰会 五洲会 田町会及高齢者遺家族の有志相謀り 先生の髙弟吉田三郎氏の營作に懸る胸像を得て立碑し 永遠に先生乃髙風を傳へんとす 蓋し 先生の偉大を顕彰するに尚ほ足らざるを恐る
獻像者一同

先生昭和二十八年十一月文化勲章及び文化功勞年金受賞の榮誉を受けさせられ 二十九年三月には茨城縣より名譽縣民に推薦せらる 國家並びに郷黨の顕彰感謝の當然にして壽像 建設の趣旨亦全きを得たるに近し 茲に追記し重ねて文勲髙大なる先生に祝意を捧ぐ


「先生の偉大を顕彰するに尚ほ足らざるを恐る」、なんと波山先生への尊敬の念が滲にじみ出た言葉でしょうか。


波山先生の像にお出迎えしていただいたら、記念館に入館です。
こちらが受付(管理塔)↓

f:id:UncleAlbert:20200401084550j:plain

受付(管理塔)では、波山先生の関係書籍や関連グッズが販売されています↓

f:id:UncleAlbert:20200401085124j:plain

f:id:UncleAlbert:20200401085658j:plain

そしてなんと、波山先生像の原型が↓

f:id:UncleAlbert:20200401090118j:plain

f:id:UncleAlbert:20200401090231j:plain

ちなみにこの原型から作られた像は、田端文士村記念館とでも、展示されています。また、石川県立工業高校にも現存しているそうです。
文士村記念館は像を室内に展示していますが、波山記念館では屋外展示。作品は劣化しないのでしょうか、ちょっと心配です。


というわけで、板谷波山記念館にある波山先生像のお話でした。

 

板谷波山記念館

開館時間:午前10時~午後6時

入場料:210円、団体160円、高校生以下無料(しもだて美術館との共通券あり)

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

場所:茨城県筑西市甲866(下館駅から徒歩9分)TEL0296-25-3830


板谷波山記念館
田端文士村記念館
石川県立工業高等学校