こんにちは、みなさんお元気ですか?
さて、令和4年4月16日(土)から茨城県筑西市で始まった展覧会「生誕150年記念 板谷波山の陶芸~麗しき作品と生涯~」。同展を協働で同時開催する3施設(しもだて美術館、板谷波山記念館、廣澤美術館)のうち、まず最初に訪れた板谷波山記念館を前回(1)に続きご紹介します。
こちらが板谷波山記念館です↓
波山記念館は、筑西市出身の陶聖・板谷波山先生の顕彰を目的に運営され、県指定文化財の生家や、作品などの展示棟、東京都田端の波山先生邸から移築した三方焚口倒焰式丸窯(夫婦窯)や作業用机を展示する作業棟などが整備されています。
ちなみに上写真の中央に建つ波山先生の胸像は、彫刻家・吉田三郎氏(日本芸術院会員)の手によるものです。
展示棟に入ると、ひときわ目立つ巨大な写真が(記念館は写真撮影可)↓
この写真に写っているのは、波山先生から長寿のお祝いに鳩杖を贈られた、当時のお年寄りたちです。
波山先生は1933(昭和8)年、下館町(当時)の80歳以上の全てのお年寄りを訪問して自作の鳩杖を進呈。以来、自身が80歳となる1951(昭和26)年まで、鳩杖の進呈を続けました。
こちらが鳩杖です↓
波山先生の直筆書状↓
甥の徳次郎宛に届いた書状には、下館町の80歳以上の方々に鳩杖を進呈したいので、役場の戸籍係に男女それぞれ何人在住しているか聞いて欲しいと書かれていました。20年近くにわたり続くことになる、鳩杖進呈のきっかけとなった書状です。
鳩杖寄贈 下館町高齢者名簿(昭和8年ヨリ)↓
延寿杖と仙桃杖↓
波山先生は、鳩杖のほかに2種類の杖を作っています。ともに2千年の寿齢を保つという伝説を持つ仙桃の形で、体調を崩した親しい友人などへの見舞いの品として贈られたそうです。
なお、なんと今回の展覧会では、鳩杖の一本に触れることができます。わたくし臣(しん)も触らせていただきました↓
思ったよりも重量感がありました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
展示棟には、鳩杖以外も展示されています。こちらは、宝生流能会ポスター↓
寿峰会(波山先生の地元後援会)主催の観能会のために作られた、波山先生自筆のポスター。先生と故郷の繋がりがこんなところにも見てとれます。
こちらは、日中戦争による下館の戦没者遺族に贈られた葆光白磁香炉↓
「忠勇義烈」の文字が入ったこの香炉、今回はそれぞれの文字を正面にして、4つ並んで展示されているので、4文字を一度に観ることが出来ます。
こちらも戦没者遺族に贈られた観音聖像と、その石膏型。「聖観音(しょうかんのん)」はよく聞きますが、ここでは「観音聖像(かんのんせいぞう)」と呼ぶようです↓
戦局の悪化にともない戦没者は増え、波山先生自身も田端の自宅・工房が空襲により全焼。香炉の贈呈は一旦中断されましたが、後に自作の観音聖像を贈ることとし、計271名の遺族に贈られました。
こちらは、現田家所蔵の観音聖像と火厄け観音↓
観音聖像の制作には、波山工房の轆轤師・現田市松(げんだいちまつ)も携わっていました。彼の長男も南方で戦死しています。
もうひとつ、衣に青磁釉がかけられた観音像は、大正12(1923)年の関東大震災で被災した人々のために作られた火除観音です。
また、波山先生の観音像はやきものだけではありません↓
親しい人の訃報に接すると、しばしば観音像を描いて遺族に届けていたそうです。
というわけで、鳩杖に触れるという
貴重な体験が出来た展示棟のご紹介はここまで。「生誕150年記念 板谷波山の陶芸~麗しき作品と生涯~」板谷波山記念館(3)に続きます。
■生誕150年記念 板谷波山の陶芸~麗しき作品と生涯~
◇開催日 令和4年4月16日(土)~6月19日(日)
◇時間 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
◇休館日 毎週月曜日
◇料金
2館共通入館券
一般1,000円、高校生以下無料、団体10名以上800円
・市民割引:500円引き。広報筑西ピープル4月1日号裏表紙に割引券(2枚)掲載。団体割引との併用不可。
・市内小学生無料招待:小中学生1名と付き添いの方2名まで無料。
【廣澤美術館】
一般1,000円、大学生・高校生700円、中学生500円、小学生以下無料
*互いの半券チケットの提示で、入場料を200円割引
*障がい者手帳等をお持ちの方と付き添いの方1名は無料
◇問い合わせ
しもだて美術館TEL0296-23-1601
板谷波山記念館TEL0296-25-3830
廣澤美術館TEL0296-45-5601
しもだて美術館
板谷波山記念館公式サイト
廣澤美術館 ザ・ヒロサワ・シティ
筑西市ホームページ